
猫と人との暮らしを静かに見つめる連作短編。日常のすぐ隣にある小さな再会や別れを、やわらかな筆致で描き出す。表紙は緑を基調に、白地に黒ぶちの猫が女性の足元へすり寄る場面をイラストで切り取る。プリーツスカートの黒、芝に散る白い花、点描のように浮かぶ黄色の灯りが、奥行きのある絵本のような構図を立ち上げる。タイトル文字は明朝の縦組みで品よく重ねられ、猫のしっぽが画面を縦に貫いて視線を導く。穏やかな色面と素朴な描線が、ともに暮らすことの体温をそっと伝える。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論