
絶望の深淵に漂う少年と、彼を取り巻く人々のスーサイド・ラブストーリー。表紙には、黒髪に眼鏡をかけたセーラー服の少女が大きく描かれ、口元には鮮烈なピンクの絵具のような滲みが広がる。背景には淡いグレーの上に「殺される前に一緒に死のうか。」という台詞が薄く重ねられ、中央のトレースされた線画フレームの中にタイトルと著者名が控えめに置かれる。腰巻きの白帯が、過剰な装飾を排した構図に静かな緊張を与えている。痛みと願いが同居する物語の輪郭を、淡色と鮮血のような一点で示す表紙である。
著安壇美緒
装丁アルビレオ
装画志村貴子
集英社 / 2020年
文学・評論