
戊辰戦争を生き延びた少女が、横浜の女学校で異国の言葉と出会い、女性の自立と子どもの幸福を希求しながら明治の文学者として歩み出すまで——三十一年の生涯に新たな光をあてる長編。表紙には、淡い緑の着物の若い女性が横顔を見せ、青い空と遠い海原を背景に白い鳥が舞う水彩画。太い筆致で縦に置かれた書名が画面左を占め、人物の視線の先には穏やかな余白がひらかれている。羽ばたく鳥の白と、開かれた空の広がりが、新しい時代へと「駆ける」一歩を静かに支えている。
著内山純
装丁坂野公一(welle design)
集英社 / 2022年
文学・評論