
19世紀スイスの寒村から、煙突掃除人として売られていった少年たちの過酷な労働と友情を描く児童文学の古典。新訳での再刊である。雪を抱く山々と高原の小川を背に、年齢も背格好も異なる四人の少年が静かに立ち並ぶ装画は、淡い水彩のような色面と繊細な線で人物の表情をすくい上げる。タイトルの「黒い兄弟」は墨を含んだ太い明朝で大きく据えられ、原題のドイツ語が小さく寄り添う。明るい山岳の光景と重い書名の対比が、彼らが背負うものの重さを静かに告げている。
著濱野京子
装丁城所潤
装画あわい
静山社 / 2023年
絵本・児童書