
神保町の架空の喫茶店を舞台に、文豪ゆかりのカレーをめぐる謎を解いていく軽やかな連作物語。古書と珈琲の街の空気を、ミステリとレシピで二重に味わわせる一冊だ。カバーには木の棚と本に囲まれた店内が温かい飴色で描かれ、眼鏡の青年が片手に文庫、卓上には湯気の立つカレー皿が置かれる。タイトルは縦組みの明朝で大きく抜き、店名は朱色の縦帯にカップのロゴをあしらって看板のように据えた。挿絵と装丁が示す静かな喫茶の時間が、謎解きという仕掛けの愉しさをやわらかく包み込んでいる。
著藍沢今日
装丁鈴木大輔
装画もの久保
宝島社 / 2020年
文学・評論