
世界中のことわざを訪ね歩く紀行エッセイ。マオリ語、バスク語、ズールー語、台湾語など三十六の言語から、各地の人々が暮らしの中で育てた言い回しを掬い上げる。表紙は楕円のフレームに切り取られた手描きの人物画で、窓辺のテーブルで猫を撫でる柔らかな筆致の水彩。周囲には靴や鳥、急須やコンパスといった小さなモチーフが点描のように散らされ、余白の白がそれらを軽やかにつなぐ。下部には黄色の帯が一本通り、絵全体に陽だまりのような温度を添える。手のひらサイズの言葉と、遠い土地の風景。その距離を、絵の余白がそのまま物語っている。
著梨木香歩
装丁緒方修一
装画都築まゆ美
岩波書店 / 2021年
文学・評論