
コロナ禍の三年間、毎日一日分の買い物だけをして、ハッピーアワーに一杯飲んで帰る。誰にも会わず、誰とも喋らない――そんな日々の食卓と、猫屋台と呼ばれた家の風景を綴ったエッセイ集。淡いピンクの地に、ミントグリーン一色で描かれた線画。エプロン姿の猫がジョッキを掲げ、トマトや葉物が蔓となって書名を抱きかかえる。鉱物的な明朝のタイトルと、軽やかな単色イラストの組み合わせが、独居の食卓に漂う静けさと、ささやかな祝祭の気配を同時に立ち上げている。

著村山由佳
装丁アルビレオ
装画banishment
幻冬舎 / 2022年
文学・評論