
入れば欲しいものが手に入る代わりに歳をとってしまう「ウラシマトンネル」の都市伝説をめぐる、ひと夏のジュブナイル小説。アーチ状にくり抜かれたトンネルの出口の向こうに、青空と入道雲、波打ち際、宙に浮かぶように佇む制服の少女が描かれる。足元には水面の反射と散らばる紙片、奥には海と空の境が淡く溶け、タイトル文字は縦書きで白く抜かれて雲に重なる。トンネルの暗い縁取りと、その先に広がる眩しい夏の光のコントラストが、失ったものと出会い直す物語の入口を静かに示している。
著山口恵以子
装丁小川恵子
装画朝倉世界一
小学館 / 2020年
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