文学・評論
黒猫の夜におやすみ 神戸元町レンタルキャット事件帖
三國青葉
神戸元町を舞台にしたレンタルキャットを巡る連作ミステリ。猫を介して交差する人々の事情と、夜の街にひそむ小さな謎が綴られていく。表紙は深い藍と緑をたたえた夜の路地に、若い男女と数匹の猫を配したやわらかな線画。手前に座る大柄な茶トラ、女性の腕に抱かれた白猫、男性の頭や肩に乗る子猫たちが、ガス灯のともる石畳の上に穏やかに浮かぶ。タイトルは筆致を残した白い和文で縦に大きく置かれ、丸囲みの帯文だけが赤く灯る。夜のしずけさと猫のぬくもりが、物語のやさしい余韻を先取りしている。