
深海に建つ海底施設で起きる密室殺人を描いたSF本格ミステリ。閉鎖環境ならではの逃げ場のなさと、極限下で立ち上がる論理の手触りが読みどころとなる。表紙はターコイズに沈む水中の光を背景に、キャップを被りカメラを構える人物を線画で立ち上げ、珊瑚状の構造物や金属タンク、規則的に並ぶガラス構造を細密に描き込む。明朝の太い縦組みタイトルが画面右に大きく配され、その奥で施設の対称的なシルエットが揺らぐ。透明な水と硬質な構造、観察者と密室——本書の主題を視覚に置き換えた一枚である。

著箱守瑞紀
装丁coil
装画れおえん
KADOKAWA / 2021年
文学・評論