
遠い惑星で春を待ち続ける鬼たちの物語。人ならざる存在が人の姿を借りて寄り添う時間が、静かな筆致で綴られていく。深い藍を基調にした表紙には、中央に立つ少女を囲むように五人の人物が配置され、背後には枯れ枝のような赤い樹影と、白い線で描かれたタイトル文字が縦に分解されて散る。細い線描の円や記号が惑星の軌道のように画面を横切り、点描の星々が夜空の冷たさを支える。人物それぞれの視線が交わらず、しかし同じ気配のなかにいる構図が、寄る辺なき存在たちの距離感をそのまま装丁に閉じ込めている。

著三雲岳斗
装丁coil
装画池田和宏
徳間書店 / 2021年
文学・評論