
妻を殺された男が犯人を追い、北米大陸を彷徨う長編小説。各章を動物の視点から語るという特異な構成で知られ、人間の暴力と原初の記憶が交差していく。表紙では青く塗られた狼が中央を占め、背後には黄緑の炎のような渦と、烏や蝙蝠を思わせる影が重なる。タイトルの白い欧文ロゴが画面を断ち切るように据えられ、下半分の帯には朱色で衝撃的な一文が大きく置かれる。彩度を絞った地色と鮮烈な蛍光色のコントラストが、静けさと獣性の同居する物語の質感を映し出している。

著山田太一
装丁鈴木成一デザイン室
装画中村眞弥子
河出書房新社 / 2016年
文学・評論