
古川日出男の現代語訳による『平家物語』全四巻の完結となる巻。滅びゆく一門の運命を、語りの息づかいで現代に呼び戻す試みである。表紙には、墨を流したような灰の地に、薄絹の衣をまとい琵琶を抱えて口を開く人物が、和紙の質感を残した筆致で描かれる。周囲にはほのかな青い人魂が漂い、足元の岩には赤い小さな蟹が連なって、海に沈んだ者たちの気配を静かに告げる。題字は細い白の縦書きで、闇のなかに語り出される声そのもののように佇む。
著伏木庸平
装丁佐々木暁
カバー写真伏木庸平
晶文社 / 2023年
暮らし・健康・子育て