
大食いクイーンの真の戦いを描くフードファイト文学。自らの〈底〉を追い求める主人公の臨場感に満ちた一冊で、食べることと生きることの境界を問い直す体験型小説である。表紙には麺を勢いよく啜る女性のイラストが大きく配され、頬の紅潮や乱れ落ちる髪、赤い花柄のエプロンが生々しい身体感覚を伝える。縦書きの墨書きタイトルと小さく添えられた欧文が、絵の熱量を静かに引き締めている。鮮やかなピンクの帯がさらに食欲と切迫を煽り、装画と文字組がひとつの食卓のように響き合う構成だ。
著今野円輔
装丁木庭貴信+角倉織音
装画丹野杏香
河出書房新社 / 2022年
文学・評論