
中学一年生のクラスメイト二十四人それぞれの視点で綴られる連作短編集の前期編。揺れ動く十二歳の心情が、ひとりひとりの声で立ち上がっていく。表紙は淡い水色を背景に、紺のセーラー服に赤いスカーフを結んだ少女が紙片らしきものを抱える姿が水彩で描かれる。タイトルは鮮やかな黄色で大きく縦に流し、〈前期〉の表記を小さく添えることで連作の構造を静かに示す。背景に散る紙片や、わずかに頬を染めた横顔の表情が、教室という閉じた場所で揺れる感情の気配をそのまま掬い上げている。

著花房観音
装丁鈴木久美
装画加藤美紀
KADOKAWA / 2016年
文学・評論