
漫才の世界に魅入られた十五歳の少年を描く、青春小説の上巻。中学校の制服姿で横顔を見せて立つ少年が、白い余白の中央に一人だけ配置されている。淡い水彩のにじみで描かれた学ランは紺と黒のあわいに揺れ、輪郭線の細さとスニーカーの白が、まだ定まらない年齢のやわらかさを伝える。タイトルは細身の明朝と等幅のローマン体で縦に走り、人物の沈黙と並走するように静かに置かれている。立ち止まったまま何かを聴いている後ろ姿のような佇まいが、声を生業にする物語の入口を、あえて声のない一枚で示している。

著Coco 日高トモキチ、玉川数
装丁大原由衣
装画サトウあこ
カバー写真coco
KADOKAWA / 2017年
文学・評論