
半世紀以上にわたり書き継がれてきた恋愛詩から96篇を精選した、文庫オリジナルのアンソロジー。ひとが誰かを思うときの揺らぎや距離が、平易な言葉で掬い取られている。表紙は白地に水彩のタッチで描かれた裸足の少女。風になびく黒髪、淡い水色のシャツ、黄緑のスカートが滲みながら軽やかに踊り、輪郭はあえて閉じきらない。タイトルは細い明朝で淡い桃色に置かれ、余白が紙の呼吸として残る。揺れる筆致と静かな書体が、恋というささやかな揺らぎの体温をそのまま装幀へ移している。
著岩室忍
装丁芦澤泰偉
装画歌川広重
祥伝社 / 2021年
文学・評論