
戦国の世に名を残した武将たちの内面に光を当てる歴史小説。鮮烈な黄を地に敷き、白い帯状の余白へ墨一色のペン画で四人の武者を配する。兜の意匠や横顔の表情はいずれも線の濃淡で描き分けられ、刀身の鋭さや汗ばむ肌の質感までもが筆の勢いに託される。中央には毛筆体の題字が縦に大書され、左右の枠内には独白めいた小さな本文が組まれて、画と言葉が一枚の屏風絵のように響き合う。視線の交差と余白の張りが、それぞれの過ちと矜持を静かに浮かび上がらせる構成となっている。
著岩室忍
装丁芦澤泰偉
装画歌川広重
祥伝社 / 2021年
文学・評論