
15歳という年齢の、止まったままどこにも進めない時間を描いた青春小説。カバーには、誰もいない教室で胸元に手を当てて立つ制服姿の少女と、机や椅子、窓際に並ぶ人影のシルエットが描かれる。曇天の薄い光が差し込むグレーがかった色面に、黄色い机の天板だけが温度を持って浮かび、タイトルは少女の周囲を囲むように白い縦組みで配置される。文字が画面の手前にレイヤーされることで、止まった風景と少女の意識のあいだに薄い膜が生まれ、終わらない3分間という主題が静かに立ち上がる。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論