
光が見えないまま夜を歩く若者たちの孤独と、そこから滲み出す悲劇と罪を描いた長編。漆黒の地に、宝石をあしらった王冠めいた巨大な構造物と、ネオンめいた青い光を放つ建物群が浮かぶ。その下に立つ小さな少女の白い影と、画面下半に伸びる棘のある蔓が、華やかさと痛みを同時に差し出す。タイトルの「闇」だけが金色で抜かれ、暗がりのなかにかろうじて光る一点として置かれる。眩しさの裏側にひとりで立つ者の姿を、装画と書体が静かに重ねている。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論