
継母の罪を暴くために動き出す少女の姿を描く、ノンストップ・ミステリー。赤みがかった髪の少女が大ぶりな懐中時計を手に正面を見据える装画が、淡いグレーの地に浮かぶ。背後には惑星めいた球体や星座のような線が散り、占星術と少女漫画的繊細さが交差する画面に仕上がる。タイトルは黒い明朝でやや崩した配置で重ね、白い帯の「父を殺したのは、母です」という太い縦組みの台詞がページの重心を一気に引き下げる。可憐な絵柄と物騒な言葉のずれが、運命の予定表をめくる手つきの不穏さを静かに告げている。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論