
創元SF短編賞受賞作を含むデビュー作品集。青春の只中にある人物たちの輪郭を、SFの遠近法で淡く溶かしながら描き出す短篇集だと知れる。カバーは群青から藍へと沈むグラデーションの夜空に星座の線が走り、縦に伸びる樹影の合間に白髪の少年少女のシルエットが点在する。下半分には白い獣のようなかたちが横たわり、夜と昼、現実と幻のあいだに視線が宙づりにされる。タイトル文字は白で抜かれ、星明かりの余韻のように静かに浮かぶ。夏の終わりの匂いと、世界の手触りが少しだけずれていく感触を、画面全体で予告している。
著逸木裕
装丁岡本歌織
装画雪下まゆ
東京創元社 / 2020年
文学・評論