1970年代のロサンゼルスを舞台に、ヒッピー探偵が元恋人の依頼から陰謀へと巻き込まれていくピンチョンの長編。フラットな配色のイラストを四分割のコマ割りで配し、煙を構えた拳銃、サーフボードを積んだクラシックカー、タンクトップの女性、LAX空港の標識を据えた幹線道路と、物語の断片をコミック的に並べる構成。中央のひと枠だけを黒地に置き換え、英題と邦題を白抜きで沈めることで、軽やかな画面に固有の奥行きを与えている。漂う煙のような白い余白が四枚を緩やかにつなぎ、混濁したLAの空気をそのまま装丁に閉じ込めた一冊。