
夜の街でふと立ち止まったとき頭をよぎる景色や記憶の断片を、軽やかな筆致で綴ったエッセイ集。眠りと覚醒のあわい、終電を逃した帰り道——日常で小さな迷い子になる感覚が連なる。表紙は青と黒のインクで描かれた線画の街並みが入り組んで層を成し、その隙間に小さな人影や自転車に乗る黒いシルエットが点在する。白く抜けた中央の余白に、「夢」の一字だけ淡い黄を帯びた手書き文字でタイトルが置かれる。地続きでありながらどこか歪んだ遠近感が、文章の浮遊感に静かに呼応する。
著大塚已愛
装丁新潮社装幀室
装画遠田志帆
新潮社 / 2021年
文学・評論