文学・評論
嵐山光三郎セレクション 安西水丸短篇集-左上の海
安西水丸
嵐山光三郎が編んだ短篇選集。著者自身による線画と短篇という二つの表現が交差する一冊で、日常の機微や旅情を淡く掬い上げる文章が並ぶ。表紙には青いタートルネックの女性の上半身が線描で大きく置かれ、髪と服を満たすコバルトブルーが白地に鮮やかに映える。眉と唇だけが薄い緑と赤で差し色となり、視線はわずかに伏せられて静かだ。タイトルは縦組みで顔の左に寄り添い、人物・余白・文字が均衡を保つ。文と絵がひとりの手から生まれたことを、装丁そのものが穏やかに告げている。