
オーウェルの寓話『動物農場』を吉田健一の訳で読み直す一冊。豚たちが指導者となり、革命の理想が徐々に変質していく顛末を、平易な動物寓話の体裁で描く政治小説の古典である。グレーの地に深紅と黒で組まれた表紙は、手描き文字の「ANIMAL FARM」が血の滴りや角、尾を生やして獣めいた姿で立ち上がり、中央の暗い楕円には白い豚と赤い花畑が浮かぶ。穏やかな農園と不穏な気配が同居する画面が、寓話の親しみやすさの裏に潜む権力の影を静かに示している。

著乾ルカ
装丁bookwall
装画雪下まゆ
中央公論新社 / 2022年
文学・評論