
厩戸御子——後の聖徳太子——を主人公に据え、倭国を追われた異形の貴公子が大陸の闇と神々を相手取る伝奇歴史長篇。史実の余白に飛鳥の呪術と東アジアの政治劇を織り込み、皇子像を大胆に書き換える。装画は深い青緑の地に金泥めいた光の渦を巡らせ、白い衣の少年が中央に静かに立つ。頭上には黄金の花が爆ぜるように開き、円環状の光輪と細密な線が後光のごとく少年を抱く。タイトルは右に縦組みで大きく置かれ、副題は朱の帯に白抜き。青の闇と金の輝きの拮抗が、神を統べんとする者の孤独と昂揚を一枚に凝縮する。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論