
ふいに訪れる別れや、人と人のあいだに走るかすかな波紋を、複数の視点で繋いでいく連作小説。表紙はやわらかな青空に薄い雲が広がり、画面を斜めに横切る電線と黒いシルエットの電柱、線上に並んで止まる小さな鳥たちの中を、一羽だけが羽ばたいて軽くぶれている。白い明朝のタイトルは雲の余白へそっと差し込まれ、空に吸い込まれるように置かれる。静けさと一瞬の動きが同じ画面に共存し、見上げたときに訪れる気配の変化を、そのまま物語の入口へと連れていく。
著秋山浩司
装丁岡本歌織
装画みき尾
ポプラ社 / 2017年
文学・評論