
団地の一室で暮らす少女の物語。誰にも言えない事情を抱えた子どもが、限られた居場所のなかで自分の輪郭を確かめていく児童文学だ。表紙は西日の射し込む窓辺に立ち尽くす少女の後ろ姿を描いた一枚絵で、画面の大半をオレンジから赤褐色のグラデーションが満たす。手前にはガラステーブルとコップ、奥には鳥籠の影。タイトルは縦組みの黒い明朝で、暖色の光のなかに静かに置かれる。閉じた室内に差す光と、外を見つめる小さな背中。少女と「コトリ」が重なる、ためらいと希望の同居する装丁である。

著工藤純子
装丁坂川朱音
カバー写真田中達也+MINIATURE CALENDAR
講談社 / 2023年
文学・評論