
戦後ミステリの書き手による短篇傑作選。表題作を含む数篇を選り出し、一冊に編んだ文庫である。鮮烈な青地の上に、赤一色の巨大な猫が立つ構図が広がる。体はドットや縞、写真的なテクスチャを切り貼りしたコラージュで埋められ、足下には小さな人影と赤い階段が配される。波線で描かれた目と素朴な輪郭が、ミステリの不穏さにわずかな可笑しみを添える。手描き風の白い縦書きタイトルと直線的な英字ロゴの赤、冷ややかな青との対比が、短篇集の緊張をそのまま装いへと移している。

著獅子文六
装丁マテリアル
装画サヌキナオヤ
筑摩書房 / 2017年
文学・評論