
鎌倉の古書店「ビブリア古書堂」を舞台に、寡黙な店主・栞子と店員の五浦が古書にまつわる謎を解いていく人気シリーズの第六巻。本巻では栞子の母をめぐる因縁が一つの結節点を迎える。表紙は深い藍と黒を基調に、紫陽花や鳥籠、義手、ピエロの貯金箱といった象徴的なモチーフを配し、本を膝に抱えて佇む少女像を静謐に描く。書名は赤い細線の縁取りで浮かび上がり、薄暗い書斎の空気を引き締める。古書に宿る記憶の重さと、それを読み解く者の翳りを、抑制された色面で物語る一冊。

著中島久枝
装丁荻窪裕司
装画川上和生
光文社 / 2017年
文学・評論