
江戸の同心が怪異と渡り合う捕物帖。あやかしの気配が漂う市井を舞台に、一癖ある人物たちが入り乱れる連作短編である。鮮やかな緑地を背景に、手前の同心は顔を白く塗り潰した「のっぺらぼう」として大きく置かれ、奥には驚き顔の町人や刀を提げた武家がふわりと浮かぶ人魂とともに配される。タイトルは黒の太い手描き文字で大胆に流し、白抜きの副題と赤い著者名が画面を引き締める。市井の喧騒と怪のひんやりした気配を、平面的な色面と軽妙な筆致で同居させた装いだ。

著霜島ケイ
装丁荻窪裕司
装画山本祥子
光文社 / 2017年
文学・評論