
遺伝子操作、AI、人間強化、VR、そしてベーシックインカム——技術革新の只中で揺れる人間の情を描いたSFミステリ短編集。来たるべき世界に潜む希望と絶望を、緻密な謎の構造に織り込んでいく。カバーは真っ白な紙面に、タイトルの巨大なカタカナを淡いグレーで断ち落とし、輪郭がフレーム外へと逃げていく構成。明朝の縦組みコピーと小さな英字「BASIC INCOME」が余白の中で静かに呼応し、文字そのものが装画として機能する。情報を削ぎ落とした白の広がりが、テクノロジーに取り囲まれてなお変わらない人間の輪郭を、かえって浮かび上がらせる。

著白川紺子
装丁関静香
装画わみず
集英社 / 2017年
文学・評論