
パンとスープの店を営む主人公をめぐる人気シリーズの一冊。日々のささやかな会話や交わりに宿る「優しさ」を、静かな筆致で綴る連作短編。カバーは手描きのイラストレーションで、湯気の立つ鍋、棚のパンとバゲット、かぼちゃやトマトの並ぶ調理台、白い器を収めた木の食器棚を淡い色彩で描く。タイトルは縦書きで右上に控えめに置かれ、黄色いペンダントライトが画面全体をやわらかく照らす。台所という生活の場の温度が、そのまま物語の手ざわりになっている。
著樋口明雄
装丁高柳雅人
装画高田裕子
角川春樹事務所 / 2021年
文学・評論