
宮沢賢治の童話のなかから、猫や笑い、ユーモアを軸に編まれた一冊。「注文の多い料理店」など、賢治作品の意外なほどに軽やかで諧謔に満ちた側面に光を当てる選集である。黒地のカバーには、白黒・サバトラ・黒・グレー・白の五匹の猫の顔が、長いひげと黄色い瞳をそろえて整然と並ぶ。立体的でありながらどこか玩具めいた質感のイラストと、右肩から流れる明朝の縦組みタイトル、欧文の小さなキャプションが、銀河を見上げるような静かな余白を生んでいる。賢治の宇宙に潜むユーモアを、夜空の星座のように配した猫たちが受け止めている。

装丁川名潤
カバー写真登曼波+Manbo Key
blueprint / 2017年
エンターテイメント