
教室で起きるいじめを、被害者・加害者・傍観者それぞれの視点から描いた中学生たちの物語。タイトルが示すとおり、外からは見えない心の動きを丁寧にすくいあげる一冊。表紙は水を張ったガラスケースの中にミニチュアの教室を据え、机と椅子、観葉植物、ひとり佇む生徒の姿が淡い水色の光に包まれている。手書き風の細い白文字でタイトルがやわらかく配され、透明な箱の中にだけ存在する閉じた世界を際立たせる。透けて見えるのに触れられない——教室という小さな水槽の比喩が、本のテーマを静かに引き受けている。

著戸森しるこ
装丁坂川朱音
装画エミウェバー
講談社 / 2023年
絵本・児童書