
祖母、母、そして自分へと受け継がれてきた台湾の家庭料理と、家族で通った市場や食堂の記憶を綴るエッセイ。鮮やかな朱色を地に、白い縦組みでタイトルが据えられ、中央には桃のイラストが一つ。緑の葉をともなう福桃は、台湾の祝い菓子や供物にも通じる象徴で、祝祭性と日常の境目に置かれている。漢字の著者名や繁体字の副題、訳者表記、出版社名が小ぶりに収まり、余白を極力削いだ構図がまるで赤い封筒のような佇まいを生む。食を通じた三世代の物語を、めでたさと素朴さの両方で受け止める一冊。

著山本貴光、吉川浩満
装丁古屋郁美
装画花松あゆみ
筑摩書房 / 2020年
人文・思想