
韓国で社会現象を起こした、ある女性の半生を淡々と綴る小説。「キム・ジヨン」というありふれた名を持つ一人の人生を通して、女性が直面する困難と差別を可視化する。表紙は、長い黒髪に縁取られた女性の顔の輪郭が、そのままひとつの窓のように開かれ、奥に枯れ木の立つ乾いた荒野が広がる構図。淡い水彩のタッチと、空に浮かぶ小さな雲、地平線の柔らかな色面が、痛みを声高に語らず差し出す。顔のない肖像が、名指されなかった無数の生に静かに重なる。
著チャールズ・ブコウスキー
装丁加藤賢策
装画サヌキナオヤ
筑摩書房 / 2016年
文学・評論