
晴天のもとを迷うクジラという題は、明るさのなかで行き場を見失う心の像を静かに浮かび上がらせる。表紙は横たわる人物の顔と腕を間近にとらえた写真で、白いシャツに結ばれた深紅のリボンだけが、淡い肌色と陰の中で鮮やかに浮かび上がる。被写体は光に半ば溶け、輪郭が柔らかくにじむ。画面中ほどに置かれた白抜きの細いタイトル文字は、その曖昧な像の上にそっと重なり、迷いと晴天という相反する言葉を、ひとつの静かな呼吸として束ねている。
著HjorthMichael、RosenfeldtHans、ほか
装丁鈴木久美
装画foopai
東京創元社 / 2017年
文学・評論