
騙す側と騙される側、双方の心理を描く短編集。見栄や不安からつい積み上げてしまう小さな嘘の連なりが、抜き差しならない一線に変わる瞬間を捉える。黒地の表紙には、赤・青・黄・緑の色面で構成された木片状のブロックがジェンガのように高く積まれ、その先端から東京タワーが顔をのぞかせ、傍らには白い薔薇と立ちのぼる煙が添えられている。タイトルは縦組みの太い明朝で左上に大きく置かれ、危うい均衡の塔と呼応する。一手ごとに崩れかねない人間関係の脆さを、色彩と構図で静かに可視化した装丁である。

著大山誠一郎
装丁関口聖司
装画げみ
文藝春秋 / 2018年
文学・評論