
セックス、結婚、プライド、老い──女たちが抱える、口にしづらい関心事を主題に据えた短編集。漆黒の地に、白く滲み広がる髪のような形象と、橙色の絵具が滴る装画。中央には無表情で正面を見据える女性の顔が浮かび、首元の粒立った装飾が血のようにも花のようにも見える。下半分を覆う朱色の帯がタイトルを真っ直ぐ縦に立て、上部の不穏な静けさと拮抗する。「正しさ」という言葉の硬質さと、装画ににじむ揺らぎが、ひとつの像の中で危うく釣り合っている。

著竹宮ゆゆこ
装丁関口信介
装画かわかみじゅんこ
文藝春秋 / 2016年
文学・評論