
母と娘の関係に潜む歪みを描く長編ミステリ。制服姿の少女が駅のホームに佇み、背後を電車と人影が流れる青く沈んだ夜の構図に、白い手書き文字のタイトルが斜めに切り込むように重ねられている。鞄を胸の前で抱え、こちらを見つめる視線は幼さと警戒の間で揺らぎ、足元のひび割れたタイルがその不安定さを静かに補強する。著者名は鮮烈な赤で刺すように配され、少女を取り巻く青と白の冷たい世界に唯一の体温として残る。穏やかな日常の表層と、その下で軋む心の輪郭を、一枚の停止した時間に閉じ込めた装丁。

著RódenasCanteroGabri、宮崎真紀
装丁芥陽子
装画いとう瞳+アドリ+ローデナス
小学館 / 2021年
文学・評論