
ある日突然、育ての親から実母のもとへ返された十三歳の少女が、見知らぬ家族と自らの出自に向き合う物語。表紙は淡いターコイズの水面を背景に、椅子にかけた女性と床に座る少女を描いた絵画で、二人の顔は輪郭だけが残され表情が伏せられている。縦に大きく組まれた原題ロゴが画面右を貫き、左には作者名が手描き風に縦書きで添えられ、白い余白がたっぷりと取られている。匿名化された二つの姿と冷たく澄んだ青が、母娘という関係の近さと距離を同時に浮かび上がらせる。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論