
チェンマイの日本国総領事館を舞台にした小説。異国の街で起こる出来事を、緩やかな現地語の挨拶「サバーイ・サバーイ」を冠して描いた一冊である。表紙は南国の街角を見上げる構図のイラストレーションで、水色の空と土埃の舞う路面、緑や赤の屋根を持つ古いバス、看板の連なる商店が淡い彩度でまとめられている。手前には橙色のシャツとデニムのハーフパンツ、ビーチサンダルで駆け出す青年。タイトルは黄色の太いゴシックで斜めに置かれ、躍動と気だるさが同居する。汗ばむ空気と異国の時間がそのまま判型に閉じ込められている。
著土橋章宏
装丁谷口博俊
装画須田悠
筑摩書房 / 2017年
文学・評論