
文学作品を手掛かりに難事件を解く涼子とルナの旅が、東京を舞台に再び始まる。店へ届いた古いノートパソコン、そのパスワードに込められた願いを、五度の試行と一冊の本から読み解く続編。女性の横顔と黒猫、花々を精緻な線画で重ね、花の一部だけに赤や緑を差した装画は、記憶の層と謎の断片を一枚に封じ込める。余白を切り裂く奔放な墨文字と金色の「Returns」が、静謐な画面へ速度と連作の華やぎを加えている。繊細さと大胆さを同居させた構成が、本をめぐる旅の知的な高揚をよく伝える。
著神楽坂淳
装丁犬田和楠
装画朱ひゐろ
講談社 / 2022年
文学・評論