
江戸の料理人・澪の物語を描いた人気時代小説シリーズの特別巻。本編で別れた登場人物たちのその後を、四篇の短編で静かに辿る一冊。表紙には縞の前掛けに紅色の襷をかけた女性が、暖簾をくぐるように立つ姿が描かれる。橙と青のコントラストが鮮やかに割れた背景、舞い落ちる花びら、淡く滲んだ筆致の人物画。タイトルは伸びやかな白抜きの明朝で大きく置かれ、シリーズ名は朱色の罫で控えめに添えられている。料理と人情の温度を、和装画の余韻が穏やかに伝える装丁。

著まどみちお
装丁鈴木久美
装画西淑
角川春樹事務所 / 2022年
文学・評論