
注意力が散漫になる現代の認知環境を、ピュリッツァー賞記者が実際の事件を通して描いた科学ノンフィクション。運転中のスマホ操作がもたらすリスクを起点に、脳がハイジャックされる仕組みへと迫っていく。表紙は英文記事の切り抜きをコラージュ状に敷き詰めた地に、太いゴシックの「神経ハイジャック」を縦に大胆に配し、一部の文字を黒い四角で塗り潰すことで検閲や情報の遮断を視覚化している。引用らしき短い文言が左右に散らされ、帯の赤い差し色だけが熱を帯びる。情報過多に侵食される注意の有り様が、紙面そのものに刻まれているかのような一冊。
著いとうせいこう
装丁佐藤亜沙美
河出書房新社 / 2014年
文学・評論