
極地を旅する写真家が日々携える全96点の道具を、衣服やザックから薬・食品、登攀具に至るまで一点ずつ綴る道具論的エッセイ。標高8000mを超える旅の現場感が、選び抜かれた物の輪郭から立ち上がる。表紙は鮮やかなグリーン一色のなかに、ストーブやカメラ、ブーツ、カラビナといった装備写真をモノトーンで散らし、上部だけ白い帯を残して毛筆の手書きタイトルを置いた構成。緑のフィルターが多種多様な道具をひとつのリストへと均し、生活と冒険の境界をなだらかにつないでいる。
著野村麻里
装丁守屋史世+守屋史世(ea)
平凡社 / 2021年
文学・評論