
著者が生まれ育った五反田の町工場の記憶と、もうひとつの東京大空襲の歴史を辿るノンフィクション。焼け野原になった土地に、人はどうやって杭を打ち直してきたのか——個人史と都市史を往き来する一冊。淡いグレージュの地に、町工場で使われる工具や金具の細密なスケッチが浮かぶ。線描だけで陰影をとった淡彩は、図鑑の標本のようでも、忘れられた道具たちの遺影のようでもある。手で握られていた物の輪郭から、土地と人の記憶を立ち上げる装い。
著東浩紀
装丁名久井直子
装画100% ORANGE
ゲンロン / 2023年
人文・思想