
老人ホームを舞台にした「21世紀はじめての密室」と銘打たれたミステリ。秋の落葉が積もる空間に集う人々の姿から、軽やかさと謎解きの気配が同居する物語の輪郭が立ち上がる。表紙は淡い水彩で描かれた群像画を円形に切り取り、白地の上にふわりと配した構成。エプロン姿の女性を中心に、老若入り混じった人物たちが落葉の山の周りに集い、黄や橙、くすんだ緑の葉が画面全体に散らされる。手書き風の太い明朝で組まれたタイトルが、にぎわいと静けさの両方を抱えた絵に穏やかに寄り添っている。
著辻真先
装丁石松経章
装画げみ
光文社 / 2019年
文学・評論